呼吸不全の介護と看護。慢性呼吸不全の患者を自宅で看護するのは可能?

血液中の酸素濃度が低下する呼吸不全。それが慢性化すると慢性呼吸不全となります。慢性呼吸不全により在宅酸素療法を利用している患者数が年々増加 しています。今回は、慢性呼吸不全を引き起こす病気から、治療法、また介護施設に入居する場合の費用シミュレーションなどをご紹介します。

慢性呼吸不全とは?慢性呼吸不全を引き起こす病気

●慢性呼吸不全とは?

一般社団法人の日本呼吸器学会は「慢性呼吸不全 」を以下のように定義しています。

大気中から酸素を体に取り入れて、体内でできた炭酸ガスを体外に放出するという肺の本来の働きを果たせなくなった状態を「呼吸不全」と呼びます。そしてこのような呼吸不全が1か月以上続く状態を慢性呼吸不全といいます。

●慢性呼吸不全を引き起こす病気

たばこの煙に起因する慢性閉塞性肺疾患COPD、結核が治癒したあとに残る肺結核後遺症(陳旧性肺結核)、幼少期の肺炎や肺結核が原因となりやすい気管支拡張症などが主となり、慢性呼吸不全を引き起こします。

●慢性呼吸不全の治療方法 は?

慢性呼吸不全の治療として最も一般的なのが、ボンベなどから酸素を吸入する「在宅酸素療法」です。血液中の酸素が足りなくなるだけでなく、二酸化炭素が増えている場合は「換気補助療法」を行います。

また、「呼吸リハビリテーション」と言って、日常生活や運動、栄養の取り方などを指導して生活の質を改善させる治療も行われます。

慢性呼吸不全の看護は病院が基本?それとも自宅や介護施設も可能?

●在宅で介護をする場合

在宅で呼吸不全の介護を行う場合、酸素が足りないという状況であれば在宅酸素療法 (Home Oxygen Therapyを略してHOTと呼ばれることもあります)が一般的です。在宅酸素療法には医療費や機器の維持費など経済的な負担が発生します。

そのため、介護保険の申請をして、訪問介護や福祉用具のレンタルや購入の補助、住宅改修費の補助などのサポートを受けるようにしましょう。要介護度によって実際に負担する金額が変わります。

●介護施設に入居する場合

介護施設に入居する場合は、まず慢性呼吸不全の患者を受け入れている施設かどうかを調べる必要があります。受け入れ可能な施設において、在宅酸素療法を行うこととなります。

在宅の場合も、介護施設に入居する場合も同様に、慢性呼吸不全の治癒に向けた医師のフォローアップ が不可欠となります。

慢性呼吸不全がある人を介護施設に預けた場合の費用シミュレーション

慢性呼吸不全による在宅酸素療法は、基準を満たすことで健康保険の適用を受けることができます。基準 は以下の通りです。

・慢性的にPaO2が低く、その値が55torr以下の方
・慢性的にPaO2が低く、60torr以下であり、歩いたり、睡眠中に呼吸が浅くなったりした時にさらにPaO2が大きく低下する方

これらの基準を満たし、社会保険が適用となった場合の概算は以下の通りです。

① 酸素濃縮器、携帯用酸素ボンベを使用する場合の一ヵ月の費用
1割負担:¥7,680 2割負担:¥15,360 3割負担:¥23,040
※自宅では「酸素濃縮装置」、外出時には「携帯用酸素ボンベ」を使用するのが一般的 です。

②機器の仕様に必要となる電気代の概算
・酸素使用量2リットル:約¥1,500
・酸素使用量7リットル:約¥4,500~8,500

保険が1割負担で、酸素使用量が2リットルの場合、月に約9,180円必要になることがわかります。3割負担になると24,540円ですので大きな負担です。また、健康保険を継続して利用するために、月に一回以上通院する必要があります。

これにとは別に、介護施設に支払う入居費用が必要となります。慢性呼吸不全のある入居者に対する費用の上乗せがあるかどうかについても確認しておきましょう。

慢性呼吸不全がある人が介護施設を選ぶ場合のポイント

●慢性呼吸不全がある患者を受け入れているかチェック

介護施設を検索できるウェブサイトなどで、慢性呼吸不全あるいは在宅酸素療法を行っている患者を受け入れている施設を探しましょう。

●夜間も看護師が常駐しているかチェック

慢性呼吸不全がある人は、睡眠中に呼吸が浅くなることがあります。そのため、万が一のことを考えて夜間でもしっかりとした看護を行ってくれる介護施設を選ぶ必要があるでしょう。

慢性呼吸不全がある人への経済的な支援はある?

慢性呼吸不全がある人が、在宅酸素療法を進める場合、器具や医療費など経済的な負担が大きくなります。高度慢性呼吸不全や肺高血圧症など、基準を満たすことで社会保険が適用となります。

介護や支援の必要性を感じたら、まず「地域包括支援センター」に相談しましょう。介護保険を申請することで、地域包括支援センターの訪問介護や訪問介護、器具などのサポートを受けることが可能になります。

また、医療費のサポートを受けることができる「身体障害者手帳 」の取得についても検討してみましょう。在宅酸素療法が必要となった場合は、状態によって身体障害者手帳の交付を受けることが可能です。

呼吸機能障害は、1級、3級、4級の3段階に区分されており、各自治体の規定により、医療費の助成や年金・手当の給付、税金・交通費・公共料金の減免や生活支援などを受けることができます。

身体障害者手帳を取得するためには申請が必要です。主治医に「意見書」の作成を依頼し、市町村の福祉担当課に相談してみてください。

介護施設に入居する場合は夜間も安心な施設を探そう

在宅の場合も介護施設に入居する場合もそうですが、慢性呼吸不全がある場合は睡眠中など夜間に何かあった時のケアが非常に重要です。そのため、自宅にいるよりも入院したり介護施設に入居したりする方が安全という場合もあるでしょう。

担当の医師としっかり相談したうえで、状況にあった介護方法を見つけましょう。

文/カインドライフメディア編集部

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